竿釣り鮎へのこだわり

”苦うるか”から始まり”鮎こく”のお味噌汁とご飯をお出しして、
デザートで終える菊乃家の鮎コースは、私が板場に立つようになってからも変わることは有りません。
変えた事で一番大きな事は、入荷する鮎は竿釣りの物にこだわり、活きた状態のままの鮎を漁師の皆さんにお願いして買わせて頂くようになった事ですね(*^_^*)

投網で獲られた鮎はたとえ活きている鮎でも買うことはお断りしています。

網の中で大きなストレスを受けた鮎は魚の身が悪く、刺身にしてみると一目瞭然でその違いがよく分かります。
本来なら締まって透明感の有る肉質が、真っ白で軟らかな肉質に変わり、冷水で〆てもコリコリとした鮎本来の”洗い”や”セゴシ”にはなりません。
これは何も鮎に限った事では無く、海の魚、鯛等でも手釣りで一匹づつ釣られた物の方が網で獲られた物に比べて高価に取引されていますね。
魚に限らず動物の筋肉繊維はアデノシン三燐酸(ATP)という物質が存在すると収縮するそうです。魚が網の中で長い時間ストレスを受けるとATPを自己消費してしまい身の締まらない魚になります。トラックで長距離輸送されて活きている魚より、漁獲直後に締めて氷漬けにした魚の方により多くのATPが残って、締まった身になります。
これは私が経験で身に付けた「鮎へのこだわり」です。

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